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Carlos Kleiber カルロス・クライバーと「田園」

1982年12月11・12日のウィーン・フィルの第5回定期演奏会(ベーム記念演奏会)は、クライバーの指揮でベートーヴェンの4番と「田園」が予定されていました。

17・18日に特別演奏会も予定。Unitelへのビデオ録画、Deccaへのレコード録音も予定されていたようですが、結局、直前の10日にクライバーがキャンセルしたため実現しませんでした。定期演奏会は、同プログラムをマゼールが急遽指揮して開催されたようですが、特別演奏会は中止になりました。1

キャンセルした理由は、いろいろ噂がありますが、アーダルベルト・スコチッチ氏の「カルロス・クライバーとの出会い」2 に記述があります。2 では、コンサートのプログラムがベートーヴェンの2番と「田園」と記載されています。

この時の録音について、John Hunt氏3 の239ページに "Decca unpublished , public concerts on 11-12 December and also rehearsals were recorded" としてベートーヴェンの4番と「田園」が記載されていますが、定期演奏会はマゼールが指揮したはずですので録音は存在しないと思っています。リハーサルの録音の存在は未確認です。

1年後の1983年11月7日、バイエルン国立歌劇場の第2回アカデミー・コンサートで、クライバーは「田園」を指揮しています。プログラムは、「魔弾の射手」序曲、ハイドン「驚愕」と「田園」。このコンサートについては「カルロス・クライバーの軌跡 9   ミュンヘンのアカデミー・コンサート」4 にまとまった記述があります。ドイツの新聞では、10月9日の "Sueddeutche Zeitung"紙 に W.Schreiber のコンサート評(4 による、未確認)、11月9日の"Muenchener Merkure" 紙に Hans Goehl : "Allerherrlichshe musikalische Gegenwant" というコンサート評があります。

このコンサートの録音は、2000年5月にWLCレーベルからプライベート録音と思われる「驚愕」と「田園」が発売(モノラル)されていましたが、「魔弾の射手」序曲のプライペート録音も存在しています。その後、「田園」は2度ととりあげていません。なお、この時、「田園」を振ったのは、彼の子供にせがまれたためという噂もあるようです。

参考文献

堀内修 : 「カルロス・クライバーのウィーン逃走事件」、『レコード芸術』、1983年3月号、音楽之友社
アーダルベルト・スコチッチ(桑原めぐみ : 訳) : 「カルロス・クライバーとの出会い」、『WAVE 31 カルロス・クライバー』pp.145-149、ピヨトル工房、1991年
John Hunt : "Vienna Pilharmoniker and Vienna State Opera Orchestra discography Volume 2 1954-1789" ,John Hunt , London , ISBN 1 901395 06 5 , 2000
山崎睦 : 「カルロス・クライバーの軌跡 9   ミュンヘンのアカデミー・コンサート」、『音楽現代』、1984年1月号、芸術現代社