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Carlos Kleiber 《ばらの騎士》の指揮回数

2011年は、1911年にドレスデンで《ばらの騎士》が初演されてからちょうど100年とのことなので、カルロス・クライバーが《ばらの騎士》を指揮した回数を歌劇場ごとに調べてみました。

 《ばらの騎士》の年別/歌劇場別の指揮回数の表を作成すると次のようになります。

 ライン・ドイツ・オペラ:5回、フランクフルト:1回、シュトゥットガルト:24回、バイエルン:100回、ウィーン:11回、ロイヤル・オペラ:4回、ミラノ・スカラ座:7回、メトロポリタン:7回で合計すると159回になります。バイエルン、ウィーンの回数には来日公演を含みます。

 ライン・ドイツ・オペラ、フランクフルト、シュトゥットガルトは、伝記の著者ヴェルナー氏のウェプ・サイトにある資料[1]から数えたものです。ウィーンは[2]、スカラ座は[3]、メトは[4]を参照しました。

 最も回数の多い、バイエルンでの回数については、2004年9月に発行されたバイエルン国立歌劇場の広報誌 "Takt 1"[5]の追悼記事には、82回と記載されていますが、2004年12月12日にバイエルン国立歌劇場で開催された追悼コンサートのプログラム冊子[6]には、「1968年1月18日のバイエルン国立歌劇場のデビュー公演から1970年までに8回(ハルトマン演出)、1974年4月20日の新演出プレミエ公演から1984年までに86回(シェンク演出)」とあるので94回になります。どちらの数字が正しいかは不明ですが、追悼コンサートの資料の方が日付が新しいので94回という数字が正しいのでは?と思っています。筆者がミュンヘンの新聞の劇場案内の記事から調べた公演記録からは100回(本サイトのOpera & Concert listingに記載)となり、歌劇場の資料との差は6回になります。調べたもののなかには3回キャスト記入なしのものがありますが(1984年05月11日、1976年11月13日、1976年10月24日)、この差の原因ついては不明です。ここでは年別の回数が明確になっているということから100回の方を採用しています。余談、クライバーの日本語のWikipediaに「バイエルンだけで通算82回演奏された」という記載(出典記載なし)がありますが、これは上述の"Takt 1"の記事の情報をもとにしたのだと思います。

 さて生涯に159回《ばらの騎士》を指揮した指揮者というのは他にいたのでしょうか。他の指揮者の演奏回数の資料はないのですが、推測するための資料として、戦後(1945-2005)のウィーン国立歌劇場の公演の資料[2]を見てみると、《ばらの騎士》の総公演回数は596回、指揮回数の多いのは、ルドルフ・モラルト(Rudolf Moralt):75回、ハインリヒ・ホルライザー:72回、ホルスト・シュタイン:40回となります。ちなみに、カール・ベームは22回、ヘルベルト・フォン・カラヤンは1回です。カラヤンが1回なのは、ウィーン国立歌劇場としての公演回数のためザルツブルク音楽祭の回数[7](24回)は含まれていないためと思われます。ベームの公演回数は、ザルツブルク音楽祭[7]:22回、メトロポリタン:34回[4]、バイエルン:14回[8]、戦前のウィーンで1回[8]となり、93回までは確認できます。

 ひとつの歌劇場で70回以上振った指揮者というのは、戦後のウィーン国立歌劇場で2人ですから、クライバーのバイエルンでの90回以上という数字は極めて稀なケースではないかと考えられます。そしてさらに一生のうち150回も《ばらの騎士》を指揮した指揮者というのも何人もいないと思います。ひょっとしたらクライバー1人だけ??? しかし他の指揮者にはない特異な点として、生涯のオペラ指揮回数約600回のうち4分の1の150回が《ばらの騎士》だったことです。

参考資料
[1] http://www.carlos-kleiber.de/auffuehrungen.html ; Aufführungen Carlos Kleiber
[2] "Chronik Der Wiener Staatsoper 1945-2005", Löcker , 2006.
[3] "La scale 1946-1992" , La Scala , 1992.
[4] http://www.metoperafamily.org/metopera/history/ ; Metopera Database
[5] "Takt 1",September/Oktober 2004.
[6] "Matinee in memorial Carlos Kleiber",12 December 2004.
[7] "Die Salzburger Festspiele Band III Verzeichnis der Werke und der Künstler 1920-1990",Residenz Verlag,1991.
[8] 『音現ブックス カール・ベームの芸術とレコード』,野崎正俊(編),芸術現代社,1982年10月